メモ
Tailscale
をオンにしてからインターネットが遅い、と感じたときに最初に確認したい3点をまとめる。
原因の大半は次のいずれかに収まる。
- Exit Node(出口ノード)が有効になっている — すべての通信が他ノード経由になり、当然遅くなる
- Tailscale の DNS 設定が悪さをしている — DNS 解決でつまずく
- P2P の直接接続が確立できておらず DERP リレー経由になっている — 中継サーバ経由なので遅い
関連: [Headscale を自宅サーバまたは AWS EC2 で運用する]
環境
- クライアント: Windows / macOS / Linux / iOS / Android いずれも考え方は同じ
- 確認に使うコマンド:
tailscale status,tailscale netcheck
1. Exit Node を無効化する
Tailscale の Exit Node 機能を有効にしていると、Web 閲覧を含むすべてのインターネット通信が指定ノード経由でルーティングされる。出口ノードの回線品質や物理的距離に律速されるため、通常は明確に遅くなる。
確認と解除:
- GUI クライアント: トレイ/メニューバーの Tailscale アイコンから Exit node → None
- CLI:
1 | # 現在の Exit Node を解除 |
ローカル LAN のリソースに Tailscale でアクセスしたいだけなら、Exit Node はオフのままで良い。
2. Tailscale の DNS 設定を見直す
MagicDNS や Admin Console の Nameservers
設定により、OS の DNS が Tailscale
管理下に置き換わっていることがある。
社内 DNS や ISP の DNS
との解決順序がずれて、名前解決でタイムアウト気味になっているケースが多い。
切り分け手順:
- クライアント設定で Use Tailscale DNS
settings(または
Override local DNS)をいったんオフにする - それでも遅い場合は OS 側の DNS を
8.8.8.8/1.1.1.1などのパブリック DNS に固定して比較 - 改善するなら、Admin Console の
DNS設定(カスタム Nameserver、Split DNS、Search Domains)を見直す
CLI でも確認できる:
1 | tailscale dns status |
恒久対策としては、社内 DNS が必要なドメインだけ Split DNS で個別に解決させ、それ以外は OS デフォルトに任せる構成が扱いやすい。
3. Direct 接続になっているかを確認する
Tailscale は本来 WireGuard ベースで P2P 直接接続するが、NAT 越えに失敗すると DERP リレー(Tailscale が運用する中継サーバ)経由にフォールバックする。リレー経由は帯域・レイテンシの両面で不利になる。
確認:
1 | tailscale status |
各ピアの行末に direct <peer-ip>:<port>
と表示されれば直接接続。relay "xxx"
と表示されているとリレー経由。
ネットワーク側の事情を見たい場合:
1 | tailscale netcheck |
UPnP / PMP / PCP
の可否、最寄り DERP までの RTT、IPv4/IPv6 の到達性などが出る。
DERP リレーから抜け出すための対処
ルーター側で次のいずれかを行う。
- UPnP / NAT-PMP / PCP を有効にする — クライアント側でポートを自動的に開ける
- UDP 41641 を手動で開放(ポートフォワード)する — Tailscale クライアントが直接接続要求を受けるための既定ポート
- CGNAT 配下を疑う — モバイル回線や一部 ISP では、どう設定しても直接接続できないことがある。この場合は割り切るか、片側をグローバル IP のある拠点に置く
両側のクライアントがどちらも対称 NAT 配下にいると、UPnP
を入れても直接接続できないことがある。netcheck の
NAT mapping 行で hard NAT
と出ているなら、ルーター買い替えやネットワーク構成見直しが必要になる。
切り分けのまとめ
| 症状 | まず疑うもの | 確認コマンド |
|---|---|---|
| Web 全体が遅い | Exit Node が有効 | tailscale status の exit node 行 |
| ページ表示が引っかかる、名前解決が遅い | DNS 設定の競合 | tailscale dns status |
| Tailscale 内通信だけ遅い/不安定 | DERP リレー経由 | tailscale status / tailscale netcheck |
最初の一手は tailscale status と
tailscale netcheck
を見ること。これだけで上記3つのうちどれが効いているかはほぼ判別できる。
参考
- Tailscale 公式ドキュメント (KB): Exit Nodes / DNS / Connection Types / Firewall Ports
tailscale --help,tailscale status --help,tailscale netcheck --help