2025年1月17日に金融庁長官井藤英樹氏によって発表された、今後の金融行政の方向性について包括的に説明した資料の簡単なまとめである。
今後の金融行政の方向性 - 要約
概要
本資料は、2025年1月17日に金融庁長官井藤英樹氏によって発表された、今後の金融行政の方向性について包括的に説明したものである。
金融庁のミッション
金融庁は以下の3つの両立を通じて、企業・経済の持続的成長と安定的な資産形成等による国民の厚生の増大を目指している:
- 金融システムの安定/金融仲介機能の発揮
- 利用者保護/利用者利便
- 市場の公正性・透明性/市場の活力
主要な取組分野
Ⅰ. 資産運用立国の実現
背景と目標
「資産運用立国実現プラン」(2023年12月公表)に基づき、家計の安定的な資産形成を支援し、企業価値向上の恩恵が国民に還元される好循環の実現を目指している。
主な成果
- NISA口座数: 2,509万口座(2024年9月末)
- NISA総買付額: 49兆円(2024年9月末)
- 日経平均株価: 42,224円(史上最高値)
- 東証時価総額: 996兆円(過去最高)
重点施策
- 家計の安定的な資産形成支援
- NISAの抜本的拡充・恒久化
- 金融経済教育推進機構の本格稼働
- iDeCoの大胆な改革
- コーポレートガバナンス改革
- 資本コストや株価を意識した経営の実現要請
- 重要な会社情報の英文開示義務化
- 資産運用業・アセットオーナーシップ改革
- 新興運用業者促進プログラム(日本版EMP)
- アセットオーナー・プリンシプルの策定
- 金融・資産運用特区の推進
Ⅱ. サステナブルファイナンスの推進
サステナビリティ開示制度
2025年3月にSSBJ基準の最終化を予定し、プライム市場上場企業を対象として段階的に導入する:
- 2027年3月期: 時価総額3兆円以上(69社)
- 2028年3月期、2029年3月期: 時価総額1兆円以上(179社)
- 2029年3月期、2030年3月期: 時価総額5,000億円以上(294社)
- 203X年3月期: プライム全企業
保証制度
サステナビリティ情報の信頼性確保のため、新たな登録制度の下で監査法人等による保証業務を導入する。
その他の取組
- インパクト投資の基本的指針策定
- 金融機関の気候変動対応ガイダンス
- カーボン・クレジット取引の透明性・健全性確保
Ⅲ. デジタル技術を用いた金融サービスの変革への対応
資金決済制度の見直し
「資金決済制度等に関するワーキング・グループ」において以下を検討:
- 資金移動業者の破綻時における利用者資金の返還方法多様化
- クロスボーダー収納代行への規制
- 特定信託受益権の発行見合い金の管理・運用方法柔軟化
AI利活用の促進
金融機関における健全かつ効果的なAI利活用のためのディスカッション・ペーパーを策定予定である。
Ⅳ. 金融システムの安定・信頼と質の高い金融機能の確保
金融機関の健全性
現在、我が国の金融機関は総じて充実した資本や流動性を有し、金融システムは総体として安定している。
リスク管理の強化
- サイバーセキュリティ対策の強化
- SNS型投資・ロマンス詐欺への対応(2024年1-6月被害額:投資詐欺約500億円、ロマンス詐欺約154億円)
- グループ経営に対する監督態勢強化
保険市場の信頼回復
大規模な保険代理店への監督実効性向上等を進め、以下の対応を実施する:
- 特定大規模乗合保険募集人に対する内部管理体制強化
- 保険仲立人の活用促進
- 企業内代理店に関する規制の再構築
Ⅴ. 金融行政の進化・深化
データ活用の高度化
- 日本銀行と連携した共同データプラットフォームの段階的運用開始
- 職員によるデータ分析取組みの促進
- アカデミアとの連携強化
組織力向上
- マネジメント宣言による透明性向上
- 360度評価のグループ長以上への拡大
- 柔軟かつ合理的・効率的に働ける環境整備
まとめ
金融庁は、「賃上げと投資が牽引する成長型経済」の実現に向けて、資産運用立国と投資立国の両輪で取り組みを進めている。デジタル技術の活用、サステナブルファイナンスの推進、金融システムの安定確保を通じて、国民の厚生増大と持続的な経済成長を目指している。