欧州の規制駆動アプローチと日本の戦略的対応:デジタル規制に関する基礎調査

はじめに

2025年現在、デジタル技術とAIの急速な発展に伴い、各国・地域は独自の規制アプローチを展開している。特に欧州連合(EU)は、「ブリュッセル効果」として知られる規制の域外適用を通じて、世界的な規制基準の設定を主導してきた1。一方で、この規制駆動型のアプローチには「規制過多(Regulatory Burden)」という課題も指摘されている2

本記事は、「ブリュッセル効果」「Gold-plating」「ソフトローアプローチ」「アジャイル・ガバナンス」といったデジタル規制に関する重要概念について、国際的な動向を踏まえながら調査し、基礎情報として整理したものである。特に、欧州の規制駆動型アプローチと日本の戦略的差別化の現状について、公開されている政策文書・報告書・学術文献を基に取りまとめた。

欧州の規制駆動アプローチ:ブリュッセル効果の光と影

ブリュッセル効果とは

「ブリュッセル効果」とは、EUが制定した規制が、事実上の世界標準となる現象を指す。GDPR(一般データ保護規則)やAI Act(AI法)などがその代表例である。グローバル企業がEU市場にアクセスするためにはEU規制に準拠する必要があり、結果として世界中でEU基準が採用される。

規制過多の実態

BusinessEuropeの報告によると、規制負担はEU内で事業を行う企業が投資環境について挙げる2大問題の一つとなっている。EU企業の60%以上が規制を投資の障害と認識し、特に中小企業の55%が規制上の障害と管理負担を最大の課題として挙げている3

この規制の複雑化は、「Regulatory Burden(規制負担)」、「Gold-plating(ゴールドプレーティング)」、「Over-regulation(規制過多)」といった用語で表現されている。

Gold-platingの問題

特に深刻なのが「Gold-plating」と呼ばれる現象である。これは、EU指令を国内法に転置する際に、加盟国が最低限必要な水準を超えて追加的な規制を課すことを指す4。2024年9月のドラギ報告書「欧州競争力の未来」は、規制負担が特に中小企業のイノベーションを妨げ、EU競争力を著しく阻害していると警告している5。結果として、企業は国ごとに異なる複雑な規制に対応する必要が生じ、コンプライアンス費用が膨大になっている。

日本の戦略的対応:実践的アプローチによる差別化

「世界で最もAIフレンドリーな国」というビジョン

2025年2月4日、日本政府は「世界で最もAIフレンドリーな国」を目指すことを発表した6。内閣府AI政策研究会の中間報告書によると、これは従来の野心的な規制トレンドとは著しく対照的な、より慎重なスタンスを採用したものである7。これは、EUの規制駆動型アプローチとは明確に異なる、イノベーション重視の戦略である。

日本の3つの差別化戦略

日本の規制アプローチは、以下の3つの原則で特徴づけられる:

1. Reasonable(リーズナブル):合理的規制アプローチ

軽規制アプローチ - 既存の法律とセクター別規制を最大限活用8 - 真に必要な場合のみ新規制を導入(企業の自主的措置では不十分な場合のみ)9 - 民間部門にはAI関連政府主導イニシアチブへの「協力」という単一の義務のみ課す10

リスクベース・アプローチ - AIが新たなリスクを生むのではなく、既存リスクを増幅するという認識 - セクター別の既存法的枠組みを活用した規制

2. Compact(コンパクト):簡潔な規制体系

統合型規制フレームワーク - METIとMICが2024年4月に発行した「ビジネス向けAIガイドライン」が、非拘束的な主要フレームワークとして機能11 - 政府による単一窓口でのワンストップ規制相談体制の構築12

Regulatory Sandboxの活用 - 2018年設立、2021年恒久法制化13 - これまでに30の実証プロジェクトを承認14 - 成功例:Luup社の電動キックボード(16歳以上でヘルメット着用義務なし、運転免許証不要での公道走行を可能に)、Panasonic社のIoT PLC(家電製品へのIoT電力線通信技術統合の実証実験)15

3. Practical(プラクティカル):実践的実装アプローチ

アジャイル・ガバナンス - マルチステークホルダーによる柔軟なガバナンス・プロセス16 - 継続的改善サイクルによる迅速な政策調整17

Society 5.0との統合 - サイバー空間と物理空間を高度に統合18 - 経済発展と社会問題の解決を両立する人間中心の社会19

DFFT(Data Free Flow with Trust)による国際連携

DFFTは、2019年のG20大阪サミットで日本が提唱した、信頼性を確保しながら国境を越えたデータの自由な流通を実現するコンセプトである。プライバシー、セキュリティ、知的財産権の保護を確保しつつ、データの自由な流通を促進することで、デジタル経済の成長を目指している。

実証実験から見る日本アプローチの成果

モビリティ分野

2020年に改正道路交通法が施行され、世界に先駆けてレベル3自動運転を公道で許可。2021年、ホンダが世界初の法的承認を受けたレベル3車両を市場投入した。

AI投資の増加

2025年2月、SoftBank CEOの孫正義氏とOpenAI CEOのサム・アルトマン氏が、年間30億ドルのOpenAI技術ライセンス契約に基づく日本でのAIサービス開始のための合弁事業を発表20。これは日本の規制環境が国際的なAI企業にとって魅力的であることを示している。

スタートアップ・エコシステム

Regulatory Sandboxを活用した実証実験が活発に行われている。2018年の制度開始以来、フィンテック、モビリティ、AI、IoT、ヘルステックなど幅広い分野で30以上のプロジェクトが承認された21。例えば、電動キックボードシェアリングやIoT電力線通信技術などの実証実験が規制緩和につながったが、社会実装段階では安全性の課題など新たな問題も顕在化しており、継続的な制度改善が求められている。

今後の展望:規制競争における日本の立ち位置

短期的展開(2025-2026年)

  • AI推進法の施行:2025年6月4日に「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(AI推進法)が公布・即日施行。規制よりも推進に重点を置いた世界初のAI専門法として注目される
  • AI戦略本部の始動:2025年2月にAI戦略本部が活動開始。OECD加盟国の企業・研究機関との連携を推進
  • Regulatory Sandboxの継続的活用:2021年の恒久法制化以降、フィンテック、ヘルスケア、モビリティなど多様な分野での実証実験を継続

中長期的戦略(2026-2030年)

  • DFFTの継続的推進:G7・G20等の国際フォーラムを通じた概念の普及と、日英・日EUデジタルパートナーシップ等による実装推進
  • 量子技術の社会実装:「量子未来社会ビジョン」に基づき、2030年までに国内1,000万ユーザーの量子技術利用と50兆円規模の生産額を目標22

グローバル・ポジショニング

日本のアプローチは、米国の市場主導型とEUの規制主導型の中間に位置する「第三の道」として注目されている。企業の自主性を尊重しながら、政府が非拘束的なガイダンスでサポートするモデルは、アジア諸国を中心に関心を集めている。

実際、ASEANも2024年2月に「ASEAN Guide on AI Governance and Ethics」を承認し、日本と同様のソフトローアプローチを採用23。シンガポールのModel AI Governance Frameworkが同ガイドの構造に大きく影響を与えるなど、アジア太平洋地域全体で、イノベーション促進と適切なガバナンスのバランスを重視する「アジア型モデル」が形成されつつある24。2023年12月の日ASEAN友好協力50周年記念特別首脳会議では、AIガバナンスを含むデジタル分野での協力強化が合意され、欧米とは異なる第三の道を共に模索する姿勢が示された。

まとめ

本調査を通じて、デジタル規制における主要な概念と各国・地域のアプローチの違いが明らかになった。欧州の「ブリュッセル効果」による規制の世界標準化と、その副作用としての「Gold-plating」や規制過多の問題。一方で日本は、「ソフトローアプローチ」「アジャイル・ガバナンス」「Regulatory Sandbox」といった柔軟な規制手法を採用し、独自の道を歩んでいる。

特に注目すべきは、日本が2025年6月にAI推進法を施行し、規制よりも推進に重点を置いた世界初のAI専門法として具体的な一歩を踏み出したことである。また、アジア太平洋地域では、ASEANが日本と同様のソフトローアプローチを採用するなど、欧米とは異なる「アジア型モデル」が形成されつつある。

ただし、電動キックボードシェアリングのような実証実験では、社会実装段階で安全性の課題が顕在化するなど、イノベーション促進と適切な規制のバランスという課題も浮き彫りになっている。これらの概念と実践例は、デジタル技術とAIの急速な発展に各国がどのように対応しているかを理解する上で重要な基礎情報となる。今後も継続的な調査と情報更新が必要であろう。

執筆に関する注記

※ 本記事はAI(Claude)と協働で執筆されています。
引用元は可能な限り明記していますが、情報の正確性については念のため原典をご確認ください。

本記事は、EU規制過多問題および日本のデジタル規制戦略に関する詳細な調査報告書をもとに作成されました。これらの報告書には、具体的な文献リストと詳細な分析が含まれています。



  1. NAVEX. (2025). "What is the Brussels Effect?" - EUの規制が事実上の世界標準となる現象についての解説
    URL: https://www.navex.com/blog/article/what-is-the-brussels-effect/↩︎

  2. Meyers, Zach. (2025年1月3日). "If the 'Brussels effect' fades in tech markets, the EU will only have itself to blame" Centre for European Reform - EU内の政策立案者が規制過多を懸念している状況を報告
    URL: https://www.cer.eu/in-the-press/if-%E2%80%9Cbrussels-effect%E2%80%9D-fades-tech-markets-eu-will-only-have-itself-blame↩︎

  3. BusinessEurope. (2025年1月22日). "Reducing regulatory burden to restore the EU's competitive edge" - 規制負担はEU企業が投資環境について挙げる2大問題の一つ。60%以上が規制を投資障害と認識、SMEの55%が規制上の障害と管理負担を最大課題として指摘
    URL: https://www.businesseurope.eu/publications/reducing-regulatory-burden-restore-eus-competitive-edge↩︎

  4. Wikipedia. (2025年4月26日更新). "Gold-plating (EU law)" - ゴールドプレーティングはEU指令の権限が加盟国の国内法に転置される際に拡張されるプロセス
    URL: https://en.wikipedia.org/wiki/Gold-plating_(EU_law)↩︎

  5. European Commission. (2024年9月9日). "The future of European competitiveness" (ドラギ報告書) - 規制負担がEU競争力を阻害、特に中小企業のイノベーションを妨げていると指摘
    URL: https://commission.europa.eu/topics/eu-competitiveness/draghi-report_en↩︎

  6. East Asia Forum. (2025年5月21日). "Less regulation, more innovation in Japan's AI governance" - 日本政府が「世界で最もAIフレンドリーな国」を目指すと発表
    URL: https://eastasiaforum.org/2025/05/21/less-regulation-more-innovation-in-japans-ai-governance/↩︎

  7. 内閣府. (2025年2月4日). "AI戦略会議 AI制度研究会 中間とりまとめ" - 従来の野心的な規制トレンドとは対照的な慎重なスタンス。「世界で最もAIフレンドリーな国」を目指し、既存法律に依拠する軽規制アプローチを採用
    URL: https://www8.cao.go.jp/cstp/ai/ai_senryaku/13kai/13kai.html↩︎

  8. White & Case LLP. (2025). "AI Watch: Global regulatory tracker - Japan" - 日本のAI政策は可能な限り既存の法律に依拠、真に必要な場合のみ新規制導入
    URL: https://www.whitecase.com/insight-our-thinking/ai-watch-global-regulatory-tracker-japan↩︎

  9. White & Case LLP. (2025). "AI Watch: Global regulatory tracker - Japan" - 日本のAI政策は可能な限り既存の法律に依拠、真に必要な場合のみ新規制導入
    URL: https://www.whitecase.com/insight-our-thinking/ai-watch-global-regulatory-tracker-japan↩︎

  10. Future of Privacy Forum. (2025). "Understanding Japan's AI Promotion Act" - 民間部門への義務は最小限に留める方針
    URL: https://fpf.org/blog/understanding-japans-ai-promotion-act-an-innovation-first-blueprint-for-ai-regulation/↩︎

  11. METI・MIC. (2024年4月19日). "AI Guidelines for Business Ver 1.0" - AI開発者、AI提供者、AIビジネス利用者向けの統合ガイドライン
    URL: https://www.meti.go.jp/english/press/2024/0419_002.html↩︎

  12. Cabinet Secretariat of Japan. "Regulatory Sandbox" - 単一窓口でアイデアや申請について助言・相談を提供
    URL: https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/s-portal/regulatorysandbox_e.html↩︎

  13. Trusted Corporation. (2025年3月13日). "Japan's Regulatory Sandbox Empowering Emerging Technologies" - 2018年設立、30プロジェクト承認、Luup社とPanasonic社の成功事例
    URL: https://www.trusted-inc.com/post/japan-s-regulatory-sandbox-empowering-emerging-technologies↩︎

  14. Trusted Corporation. (2025年3月13日). "Japan's Regulatory Sandbox Empowering Emerging Technologies" - 2018年設立、30プロジェクト承認、Luup社とPanasonic社の成功事例
    URL: https://www.trusted-inc.com/post/japan-s-regulatory-sandbox-empowering-emerging-technologies↩︎

  15. Trusted Corporation. (2025年3月13日). "Japan's Regulatory Sandbox Empowering Emerging Technologies" - 2018年設立、30プロジェクト承認、Luup社とPanasonic社の成功事例
    URL: https://www.trusted-inc.com/post/japan-s-regulatory-sandbox-empowering-emerging-technologies↩︎

  16. 経済産業省. (2022年8月8日). 「アジャイル・ガバナンスの概要と現状」報告書を取りまとめました - マルチステークホルダーアプローチと継続的改善サイクルによる柔軟なガバナンスモデル
    プレスリリース: https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220808001/20220808001.html
    PDF: https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220808001/20220808001-a.pdf↩︎

  17. 経済産業省. (2022年8月8日). 「アジャイル・ガバナンスの概要と現状」報告書を取りまとめました - マルチステークホルダーアプローチと継続的改善サイクルによる柔軟なガバナンスモデル
    プレスリリース: https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220808001/20220808001.html
    PDF: https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220808001/20220808001-a.pdf↩︎

  18. 内閣府. "Society 5.0" - サイバー空間と物理空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会
    URL: https://www8.cao.go.jp/cstp/english/society5_0/index.html↩︎

  19. 内閣府. "Society 5.0" - サイバー空間と物理空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会
    URL: https://www8.cao.go.jp/cstp/english/society5_0/index.html↩︎

  20. East Asia Forum. (2025年5月21日). "Less regulation, more innovation in Japan's AI governance" - SoftBankとOpenAIの30億ドル合弁事業発表
    URL: https://eastasiaforum.org/2025/05/21/less-regulation-more-innovation-in-japans-ai-governance/↩︎

  21. Trusted Corporation. (2025年3月13日). "Japan's Regulatory Sandbox Empowering Emerging Technologies" - 2018年設立、30プロジェクト承認、Luup社とPanasonic社の成功事例
    URL: https://www.trusted-inc.com/post/japan-s-regulatory-sandbox-empowering-emerging-technologies↩︎

  22. 内閣府. (2022年4月22日). 「量子未来社会ビジョン」 - 2030年までに国内1,000万ユーザーが量子技術を利用し、50兆円規模の生産額を目指す
    URL: https://www8.cao.go.jp/cstp/ryoshigijutsu/ryoshi_gaiyo_print.pdf↩︎

  23. ASEAN. (2024年2月). "ASEAN Guide on AI Governance and Ethics" - シンガポールのModel AI Governance Frameworkの影響を受け、ソフトローアプローチによるAIガバナンスを採用
    URL: https://asean.org/wp-content/uploads/2024/02/ASEAN-Guide-on-AI-Governance-and-Ethics_beautified_201223_v2.pdf↩︎

  24. ASEAN. (2024年2月). "ASEAN Guide on AI Governance and Ethics" - シンガポールのModel AI Governance Frameworkの影響を受け、ソフトローアプローチによるAIガバナンスを採用
    URL: https://asean.org/wp-content/uploads/2024/02/ASEAN-Guide-on-AI-Governance-and-Ethics_beautified_201223_v2.pdf↩︎

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改正次世代医療基盤法:医療データ活用の新時代に向けた法的枠組み

はじめに

2024年4月1日、改正次世代医療基盤法が施行され改正次世代医療基盤法を政省令・ガイドラインを踏まえて解説 - BUSINESS LAWYERS)、日本の医療データ利活用が新たなステージに入った。この法律は、国民・患者の皆様の個人情報を、個人を特定できないように加工し、新薬や治療法の開発に役立てるための法律である。情報を安全に管理し、目的にあった利用をするため、国が認定した事業者に対してのみ医療情報が提供される。(内閣府健康・医療戦略推進事務局:次世代医療基盤法について)。本記事では、次世代医療基盤法の概要、改正内容、現状の課題、そして今後の展望について詳しく解説する。

次世代医療基盤法とは

法律の正式名称と目的

次世代医療基盤法の正式名称は「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」である。この法律は個人情報保護法の特別法として2018年5月に施行され、以下の目的を掲げている(令和6年4月に改正次世代医療基盤法が施行されました|Deloitte Japan)。

  • 健康・医療に関する先端的研究開発の促進
  • 新産業の創出
  • 健康長寿社会の形成への貢献

基本的な仕組み

1. 医療情報の収集段階

政府広報オンラインによると、「認定事業者が、医療機関から患者の医療情報を収集する」(政府広報オンライン:一人ひとりの医療情報が"明日の医療"につながります)。認定事業者とは、「国が認定する信頼できる事業者で、医療分野の研究開発や情報セキュリティ、医療情報の匿名加工などに精通している」(同上)。

2. オプトアウト手続き

医療機関では、「患者が最初に受診した時に、医師や看護師などから医療情報の提供について書面による通知が行われる」(同上)。内閣府の説明では、「一定の要件(書面を用いた通知等)を満たす丁寧なオプトアウト(あらかじめ通知を受けた本人又はその遺族が停止を求めないこと)により、医療機関等から認定作成事業者へ要配慮個人情報である医療情報を提供することが可能」(次世代医療基盤法がより良い制度となるために | 医薬産業政策研究所)とされている。

3. データ加工・保管段階

政府広報オンラインによると、「認定事業者は、複数の施設から医療情報を収集し、暗号化して保管」し、「患者の氏名や住所など特定の個人を識別することができる情報は提供されない」(政府広報オンライン)。

内閣府の公式説明では、本法は「デジタル化した医療現場からアウトカムを含む多様なデータを大規模に収集・利活用する仕組みを設ける」(内閣府健康・医療戦略推進事務局:次世代医療基盤法について)ものである。

4. データ提供・利活用段階

政府広報オンラインによると、「医療分野の研究開発の要望に応じて、必要な情報のみを研究機関や企業などに提供」される(政府広報オンライン)。

2024年の改正内容

改正の背景

2018年の施行から約5年が経過したものの、内閣府の担当者は「正直に言えば、十分に使われているという状況ではありません」と率直に述べているように(2024年製薬ビジネスの展望を産官学の有識者が解説 | DATA INSIGHT | NTTデータ)、利用実績は限定的であった。これまでの利用実績は二十数件と少ない状況(次世代医療基盤法の見直し | 週刊 経団連タイムス)を改善するため、法改正が行われた。

主な改正点

改正次世代医療基盤法では、以下3つの重要な変更が行われた:

1. 仮名加工医療情報の利活用制度の創設

  • 匿名加工医療情報:完全に個人を特定できない状態に加工
  • 仮名加工医療情報(新設):特定の状況下で元の情報に遡ることが可能

改正前に利用されていた匿名加工医療情報は、匿名加工前の情報に遡ることが不可能であったため、薬事承認申請に利用することができなかったという課題が、仮名加工医療情報の導入により解決された(次世代医療基盤法がより良い制度となるために | 医薬産業政策研究所)。

2. 公的データベースとの連結解析

次世代医療基盤法に基づく匿名加工医療情報と、匿名医療保険等関連情報データベース(NDB)、介護保険総合データベース(介護DB)、匿名診療等関連情報データベース(DPCDB)といった公的データベースとを連結解析できる状態(連結可能匿名加工医療情報)で、研究者等に提供できるようになった(令和6年4月に改正次世代医療基盤法が施行されました|Deloitte Japan)。

3. 医療情報取扱事業者による次世代医療基盤法に関する施策への協力(努力義務)

次世代医療基盤法に関する施策に協力することへの努力義務が課せられるようになった。これにより、急性期病院以外の医療機関からのデータ収集拡大が期待されている。

現状の課題と問題点

利用実績の低迷

次世代医療基盤法に基づいたデータ利活用は、2020年10月頃からいくつかの民間企業や大学研究機関で行われるようになったが、依然として医療情報の利活用が活発になったとは言えない状況が続いている(次世代医療基盤法がもたらす医療情報の利活用推進への期待 | PwC Japanグループ)。

主な課題(いくつかの議論で挙げられている課題をリスト)

  1. 利用可能な医療情報の量の不足:利用可能な医療情報の量が少ないことが課題として挙げられる(次世代医療基盤法がもたらす医療情報の利活用推進への期待 | PwC Japanグループ
  2. 医療機関の参加の偏り:認定事業者へ医療情報を提供する医療情報取扱事業者は急性期病院が中心となっており、多様な医療情報取扱事業者からの協力が必要という課題がある(令和6年4月に改正次世代医療基盤法が施行されました|Deloitte Japan
  3. 匿名加工に伴う技術的課題:医療情報を匿名加工する際には、特異値をはじめ研究などに重要な情報を削除し、データから個人の識別ができないようにしなければならず、これが利活用にあたっての難点となっている(次世代医療基盤法の見直し | 週刊 経団連タイムス
  4. 事業者の経済的課題:認定医療情報等取扱受託事業者の収支が赤字となっている点が国会審議でも議論された(次世代医療基盤法がより良い制度となるために | 医薬産業政策研究所

個人情報保護との兼ね合い

今回の改正で利用可能となる仮名加工医療情報は、匿名加工医療情報と比較すると、個人識別の可能性が高くなるため安全管理措置に係る厳格な基準策定の附帯決議が附された(次世代医療基盤法がより良い制度となるために | 医薬産業政策研究所)ように、利便性の向上と個人情報保護のバランスが重要な課題となっている。

医療DXとの関係

医療DX推進との連携

2024年度の医療DX推進の予算として、2023年度より大幅に多い166億円の概算要求が出されていた(次世代医療基盤法がより良い制度となるために | 医薬産業政策研究所)など、政府は医療DXの推進を積極的に進めている。

さらに診療報酬面でも医療DX推進が加速しており、2025年4月から医療DX推進体制整備加算の要件が大幅に厳格化され、マイナ保険証利用率の基準値が最大45%まで引き上げられ、電子処方箋の導入が施設基準として求められる NikkeiM3ようになった。これにより、医療機関における医療DX対応が事実上の必須要件となりつつある状況である。

このような予算・制度両面での強力な後押しにより、次世代医療基盤法に基づく医療データ利活用環境の整備が急速に進展することが期待される。

次世代医療基盤法は、この医療DX推進の重要な要素として位置づけられており、医療DXの推進は、現時点では主に一次利用を想定しており、二次利用の環境整備は2030年頃と予定されている(次世代医療基盤法がより良い制度となるために | 医薬産業政策研究所)中で、医療データの二次利用基盤として期待されている。

全国医療情報プラットフォームとの関係

政府が推進する「医療DX令和ビジョン2030」では、全国医療情報プラットフォームの創設が重要な柱の一つとなっており、次世代医療基盤法との連携が今後の課題となっている。

今後の展望と期待

医療研究開発への影響

改正法により、以下の分野での活用拡大が期待されている:

新薬開発:リアルワールドデータ(RWD)を活用した治験の効率化

改正次世代医療基盤法では、希少疾患や特異な検査値なども含めたRWD(リアルワールドデータ)を活用した幅広い研究活用が期待されている(2024年製薬ビジネスの展望を産官学の有識者が解説 | DATA INSIGHT | NTTデータ)。また、RWDを活用することで、研究開発が効率的に進むことが期待されており(健康医療データ・リアルワールドデータの活用に向けて | 日本製薬工業協会)、臨床試験の対照群をRWD(リアルワールドデータ)で代用することが可能となる(次世代医療基盤法がもたらす医療情報の利活用推進への期待 | PwC Japanグループ)。

医療安全:副作用や医療事故の早期発見

RWDから一人ひとりのさまざまな特徴に合った医薬品の安全性や有効性のエビデンス(科学的根拠)を創出して、医薬品のより適正な使用に役立てることができる(健康医療データ・リアルワールドデータの活用に向けて | 日本製薬工業協会)。また、未知の副作用の発見などを含めた幅広い活用への期待が寄せられている(次世代医療基盤法がもたらす医療情報の利活用推進への期待 | PwC Japanグループ)。

疫学研究:大規模コホート研究の実現

デジタル化した医療現場からアウトカムを含む多様なデータを大規模に収集・利活用する仕組みを設けることにより(内閣府健康・医療戦略推進事務局:次世代医療基盤法について)、従来困難であった大規模な疫学研究の実現が可能となる。

AI医療:機械学習用データセットの提供

次世代医療基盤法により収集される大規模医療データは、病気の早期発見や新薬の開発などさまざまな成果につながり、将来より良い医療を受けられるようになることが期待されている(次世代医療基盤法とは | DATuM IDEA)AI開発のための貴重なデータソースとなり得る。

国際競争力の向上

本邦において医療情報の利用を円滑に行う仕組みを構築するためには、各ステークホルダーの継続した議論が改正後も必要となる(次世代医療基盤法がより良い制度となるために | 医薬産業政策研究所)状況であるが、制度の改善により国際的な医療研究開発競争における日本の地位向上が期待されている。

学術機関への期待

医療情報を利用する研究に興味を持つ学生を増やすためにも、学術機関においてより多く利用される仕組みとなるための検討も求められる(次世代医療基盤法がより良い制度となるために | 医薬産業政策研究所)として、教育分野での活用も重要視されている。

まとめ

以上をまとめる。次世代医療基盤法の改正により、日本の医療データ利活用環境は大きく前進した。しかし、制度の真価を発揮するためには、以下の点が重要である:

  • ステークホルダー間の継続的な対話
  • 個人情報保護と利活用のバランス
  • 国際標準との整合性
  • 持続可能な運営モデルの構築

医療情報を積極的に使うことが、将来的には製薬会社の発展ならびに国民の健康維持・向上にも寄与していくことであろう(次世代医療基盤法がもたらす医療情報の利活用推進への期待 | PwC Japanグループ)。改正次世代医療基盤法が、日本の医療イノベーションを加速させる基盤として機能することが期待される。

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WSL2上のVS CodeでMCPサーバー

WSL2上でVS Codeの環境構成

【WSL / WSL2】VSCode×WSLでWindows上にLinux開発環境を構築 に記載の通り、VS Codeに拡張機能をインストールする。自分の場合は、

  • Remote Development

をインストールした。これにより、4個ほどの拡張機能がインストールされる。

VS Codeの設定

WSL2 の VS Code で GitHub MCP Server (github-mcp-server) を動かしてみた にあるように、設定画面を開き、「Remote [WSL: xxxxxxx]」タブを開く。

「mcp」を検索すると、settings.jsonファイルを開けるので開く。

今回試すのは、VS Code の設定から MCPサーバーを追加して GitHub Copilot agent mode で利用してみる(安定版でも利用可能に)に掲載されている、ローカルファイルを編集するためのMCPサーバー。

事前に npm コマンドをインストールしておくこと。

1
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3
sudo apt install npm
sudo npm install -g n
sudo n stable

なお、Ubuntu22系にインストールされるNPMでは古すぎたので、 n を使って、最新版のnpmをインストールしている。ご自身の環境に合わせて実行してほしい。

さて、settings.jsonにはもともとmcp-server-timeがあったはずだが、その下に、以下を追記する。

1
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"filesystem": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"@modelcontextprotocol/server-filesystem",
"tmp"
],
}

パスを渡している tmp の箇所は適宜自身の環境に合わせて書き換えてほしい。今回は、VS Codeを開いたプロジェクトディレクトリ以下に tmp というディレクトリを掘って作成するようになる。

あとは、VS Code の設定から MCPサーバーを追加して GitHub Copilot agent mode で利用してみる(安定版でも利用可能に)にある通り、Copilotなり、任意のAIエージェントから操作すればよい。

例えば、

  • 「フォルダは何?」
  • 「npxの概要を記載し、/home//tmp以下に保存して」

などとエージェントに依頼すると適宜返事をくれたり、ファイルを作成したりしてくれる。

参考文献

  1. 【WSL / WSL2】VSCode×WSLでWindows上にLinux開発環境を構築 URL: https://qiita.com/_masa_u/items/d3c1fa7898b0783bc3ed
  2. WSL2 の VS Code で GitHub MCP Server (github-mcp-server) を動かしてみた URL: https://techblog.ap-com.co.jp/entry/2025/04/07/190000
  3. VS Code の設定から MCPサーバーを追加して GitHub Copilot agent mode で利用してみる(安定版でも利用可能に) URL: https://qiita.com/youtoy/items/adfeedeedf1309f194ce
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Ubuntu環境でのOllamaセットアップガイド:ローカルで動作するAIアシスタントの構築

最近注目を集めているローカルで動作するLLM(大規模言語モデル)ランタイム「Ollama」のUbuntu環境での導入方法と基本的な使い方について解説する。Ollamaを使用することで、プライバシーを保ちながら、ローカル環境で高性能なAIアシスタントを利用することが可能である。

1. Ollamaとは

Ollamaは、オープンソースのLLMランタイムで、以下のような特徴を持つ:

  • ローカル環境で動作する(インターネット接続不要)
  • 様々なオープンソースモデルに対応
  • APIを通じた柔軟な利用が可能
  • システムリソースの要件が比較的低い

2. システム要件

Ollamaの動作には以下のようなシステム要件が必要である。

What are the minimum hardware requirements to run an ollama model? あたりの情報を参考に。

2.1 基本要件

  • RAM:
    • 7Bパラメータモデル: 最低8GB RAM
    • 13Bパラメータモデル: 最低16GB RAM
    • 70Bパラメータモデル: 最低64GB RAM

2.2 推奨スペック

  • CPU: AVX512対応のIntel/AMD CPU、もしくはDDR5対応プロセッサ
  • RAM: 16GB以上
  • ストレージ: 約50GB以上の空き容量

2.3 GPU要件(オプション)

  • NVIDIA GPU: ドライバーバージョン452.39以上
  • AMD GPU: 最新のRadeonドライバー

なお、実際の必要スペックは使用するモデルのサイズや用途によって大きく異なる。特に大規模なモデルを使用する場合は、より多くのリソースが必要となる点に注意が必要である。

3. インストール手順

Ubuntu環境でのインストールは非常に簡単である。以下のコマンドを実行する:

1
curl -fsSL https://ollama.com/install.sh | sh

インストール後、システムサービスとして登録し、自動起動を設定する。なお、手元の環境では最初から下記の環境設定が完了していたので不要かもしれない。:

1
2
systemctl start ollama
systemctl enable ollama

正常にインストールされたことを確認する:

1
systemctl status ollama

4. 基本的な使い方

4.1 モデルのダウンロード

最初に使用したいモデルをダウンロードする必要がある:

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# Llama 3モデルをダウンロード
ollama pull llama3

# 利用可能なモデルの確認
ollama list

# NAME ID SIZE MODIFIED
# llama3:latest 365c0bd3c000 4.7 GB 6 seconds ago

4.2 対話モードでの利用

1
2
# 対話モードでモデルを起動
ollama run llama3

4.3 APIとしての利用

Ollamaは11434番ポートでHTTP APIを提供している:

1
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3
4
curl -X POST http://localhost:11434/api/generate -d '{
"model": "llama3",
"prompt": "Ubuntuの主な特徴を3つ挙げよ"
}'

5. カスタマイズと応用

5.1 システムプロンプトのカスタマイズ

Modelfileを使用して、モデルの振る舞いをカスタマイズすることができる:

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# Modelfileの作成
cat << EOF > Modelfile
FROM llama2
SYSTEM "あなたはLinuxシステムの専門家である。Ubuntuに関する質問に詳しく答えよ。"
EOF

# カスタムモデルの作成
ollama create ubuntu-expert -f Modelfile

5.2 環境変数の設定

必要に応じて以下のような環境変数を設定する:

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# GPUメモリ制限の設定
export CUDA_VISIBLE_DEVICES=0

# リモートアクセスを許可
export OLLAMA_HOST=0.0.0.0

6. セキュリティ設定

6.1 ファイアウォールの設定

UFWを使用している場合は、必要なポートを開放する:

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sudo ufw allow 11434/tcp
sudo ufw status

6.2 アクセス制限

特定のIPアドレスからのみアクセスを許可する場合の設定:

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# /etc/systemd/system/ollama.service.d/override.conf
[Service]
Environment="OLLAMA_HOST=192.168.1.100" # 特定のIPアドレスを指定

7. トラブルシューティング

7.1 ログの確認

問題が発生した場合は、以下のコマンドでログを確認する:

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# システムログの確認
journalctl -u ollama -f

# サービスのステータス確認
systemctl status ollama

7.2 一般的な問題の解決

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# サービスの再起動
systemctl restart ollama

# キャッシュのクリア
rm -rf ~/.ollama/cache/*

8. 参考情報とリソース

公式リソース

  • Ollama 公式サイト
    • 最新のドキュメントと更新情報
    • モデルのダウンロードとライブラリ
  • Ollama GitHub
    • ソースコードとイシュートラッキング
    • コミュニティの貢献とディスカッション

モデル関連

  • Llama 2
    • Meta社による基本モデルの詳細
    • ライセンスと使用条件

コミュニティリソース

  • Ollama Discord
    • コミュニティサポート
    • ユースケースの共有
  • Ollama Reddit
    • ユーザーディスカッション
    • トラブルシューティングのヒント

関連プロジェクト

  • LangChain
    • Ollamaとの統合例
    • アプリケーション開発フレームワーク

まとめ

Ollamaを使用することで、プライバシーを保ちながらローカル環境で高性能なAIアシスタントを利用することが可能となる。 この記事で紹介した設定や使い方を参考に、各自の環境に合わせたAIアシスタントの構築を検討されたい。

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AMDのGPUメモリ量を変更する

AMDのGPUメモリ量を調整する方法について説明する。

  1. まず、AMD Softwareを起動する。
  2. 画面上部にある「パフォーマンス」タブをクリックする。
  3. 続いて「チューニング」タブを選択すると、専用グラフィックメモリの設定画面が表示される。
  4. ここで必要に応じてメモリ量を調整することができる。

この設定を変更する際は、システムの安定性に影響を与える可能性があるため、慎重に行う必要がある。

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Consideration of the Usefulness of Data Spaces and Data Collaboration Infrastructure in the Healthcare Field

1. はじめに

近年、医療分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が加速しており、特に電子カルテをはじめとするデータ連携基盤の整備が注目されている。政府は2025年度を目途にクラウド型病院システムの「標準仕様」を示し、2030年までに希望する医療機関が導入可能な環境を整備する計画を進めている。この取り組みにより、医療情報の効率的な管理と共有が期待されている(参考文献:病院の電子カルテ等のクラウド化・共有化、2025年度目途に国が | GEMMED)。

さらに、2025年には全国医療情報プラットフォームが運用を開始する予定であり、これにより医療機関間での情報共有が円滑化されることが期待されている。このプラットフォームは、地域医療の質向上と患者の利便性向上に寄与する重要な役割を果たすとされている(参考文献:全国医療情報プラットフォームの役割とは | CBパートナーズ)。

また、「医療DX令和ビジョン2030」では、2024年の診療報酬改定を踏まえつつ、2026年を見据えた包括的な取り組みが進められている。このビジョンは、医療の質の向上と効率化を目指し、デジタル技術を活用した新しい医療モデルの構築を目指している(参考文献:医療DX令和ビジョン2030のこれまでとこれから~2026年への備え | 富士通)。

本稿では、これらの背景を踏まえ、医療DXの推進における課題と展望について考察する。


2. 医療業界におけるデータ連携に関連する課題

2.1 挙げられてきた課題(現在取り組まれているものも含む)

  1. データの断片化
    • 医療機関ごとに異なる電子カルテシステムやデータフォーマットが使用されており、データの統合が困難。

    • 診療履歴、検査結果、投薬情報などが一元化されていない。

      参考文献:医療DX令和ビジョン2030 | 厚生労働省

  2. 地域間・機関間の連携不足
  3. データ活用の制約

2.2 医療業界特有の課題(現在取り組まれているものも含む)

  1. データ標準化の遅れ
  2. プライバシーとセキュリティ
  3. 中小医療機関のリソース不足

3. 電子カルテ情報及び交換方式の標準化の現状

3.1 推進されている取り組み

  • HL7 FHIRの採用:医療機関間やシステム間でのデータ交換を円滑にするため、国際標準規格であるHL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)を用いたAPI接続の仕組みが検討・実装されている。この規格により、異なるシステム間でのアプリケーション連携が容易になる。参考文献:電子カルテ等の標準化について
  • クラウド型電子カルテの普及:2025年度を目途に、国がクラウド型病院システムの標準仕様を提示し、2030年までに希望する医療機関が導入できる環境を整備する計画が進行中である。参考文献:クラウド型病院システムの標準仕様
  • 標準化のガイドライン作成:電子カルテ情報の標準化を効率的に進めるため、国民、医療機関、保険者などの関係者が協力し、具体的なガイドラインが作成されている。参考文献:資料1:電子カルテ情報及び交換方式の標準化

3.2 課題と制約

  1. 導入コスト:電子カルテの導入には初期費用が大きく、特に中小規模の医療機関にとっては大きな障壁となっている。参考文献:電子カルテを標準化する4つのデメリット | Clinics Cloud
  2. 運用の複雑化:電子カルテ導入後、操作方法の習得や運用の慣れに時間がかかることが課題である。参考文献:地域医療におけるDX化のメリット・デメリット | FastDoctor
  3. 地域間格差:都道府県別の電子カルテ導入率に大きな差があり、都市部と地方部での普及状況が異なる。参考文献:医療関連企業向け|統計からみる市場動向 ~電子カルテの導入状況 | NKグループ

4. ナショナルレベルのデータ連携基盤の意義

4.1 患者中心の医療の実現

  • 診療履歴の一元管理患者の診療履歴や検査結果を一元化することにより、重複検査や治療を回避することができる。また、患者が異なる医療機関を受診した場合でも、必要な情報が即座に共有され、医療の質が向上する。この一元管理は、電子カルテや医療情報システムの活用により実現されている。他業界では、ERPによる一元管理が成功例として挙げられる。医療情報システムを専門とする企業も増えており、協調領域をナショナルレベルで標準化することで、社会全体のコストを抑えながら効果的な一元管理を実現できると考えられる。参考文献:医療業界向けERPはなぜ重要か医療情報システムとは?
  • 遠隔医療の推進地方や医師不足地域において、データ連携基盤を活用した遠隔医療が可能となる。患者データに基づく精度の高い診断と治療が実現し、異なる法人やシステム間で患者情報を統合する取り組みが進行中である。既存サービス、製品の中にも、異なる法人(システム)の患者情報を自動収集、統合することを例として挙げているものもある。参考文献:Vol.3 医療データ活用に向けた、患者情報の統合・一元管理

4.2 医療費削減と効率化

  • 医療資源の最適配分データ分析により、地域ごとの医療需要を予測し、医療資源を効率的に配分することが可能である。また、医療機器や薬剤の在庫管理を効率化することで、医療機関内外での資源の無駄を削減できる。これを企業横断的に実施することで、緊急時に企業間で資源を融通し合える体制が構築され、危機に強い社会の実現につながると考えられる。参考文献:医療業界向けERPはなぜ重要か 重複診療や不要な治療の削減

データ共有により、患者の診療記録や検査結果が即座に参照可能となり、無駄な医療費を削減する。院内のケースでは、診療録管理システムなどの導入により、これらの効率化が進んでいる。これを企業や病院を横断して実現することで、過去の患者記録に即した無駄の排除が可能であると考えられる。特に、異なる法人や病院をまたいだデータ連携は、患者が複数の医療機関を利用する際に診療の重複を防ぎ、より迅速かつ正確な診療を可能にする。このような取り組みは、地域医療連携ネットワークや国際的な標準規格(例:HL7 FHIR)を活用したデータ共有システムによっても推進されると考えられる。

参考文献:


4.3 医療データの利活用

以下では、医療データの利活用による改善事例を紹介する。これらの事例は必ずしもナショナルレベルの取り組みではないが、協調領域での共同の取り組みにより、二つの重要な効果が期待できる。一つはデータ量の増加による利活用効果の向上、もう一つは協調領域におけるコスト削減である。


5. 他分野の事例を医療分野に応用する可能性

5.1 ウラノスエコシステム

概要

ウラノスエコシステムは、日本政府が推進するデータ連携基盤構築の一環であり、官民協調によるデータ共有と利活用を目指した取り組みである。特に業界横断的なデータ連携を可能にすることを目的としている。

特徴

  1. 業界横断的なデータ連携政府、防災、教育、医療、産業など、複数の分野でデータを連携させる仕組みを構築している。これにより、国境や業界を超えたデータの統合が可能となる。 参考文献:
  2. 標準化と相互運用性データ共有には規格や標準が必要であり、ウラノスエコシステムはこれらも考慮した基盤として設計されている。これにより、異なる組織間でもデータの互換性を確保する。現在の事例は主に製造業を中心としたものだが、考え方自体はそれに特化したものではない。 参考文献:

5.2 DATA-EX

概要

DATA-EXは、分野を超えたデータ連携を目指すプラットフォームを実現するイニシアティブであり、データ提供者と利用者の間で安全で信頼性の高いデータ流通を実現することを目的としている。医療に強く関連がある議論として、DATA-EXの取り組みの中では、匿名化技術とアクセス権限管理を通じてデータセキュリティを高めるための議論も行われている。

匿名化技術やアクセス制御に関する議論

  1. 匿名化とプライバシー保護データの匿名化技術を活用し、個人情報を保護した形でのデータ共有を実現する。これにより、医療研究や臨床試験におけるデータ利用が促進される。
  2. アクセス権限管理とセキュリティデータ利用者ごとに異なるアクセス権限を設定することで、データの不正利用を防ぐ。この仕組みは、医療従事者や研究者が関与する複雑な医療データ管理に適している。

参考文献: データ社会アライアンスのホワイトペーパー

5.3 医療分野への適用可能性

  • 応用可能性
    • 既存の国内のデータ連携基盤は、多様なデータを共有する仕組みを想定している。医療情報(電子カルテ、診療データ、地域医療情報など)を含むデータ共有、医薬品や医療機器の研究開発、公衆衛生の向上に寄与する可能性がある。
    • DATA-EXで議論されているような匿名化技術やアクセス管理技術を応用することで、患者データの匿名化とアクセス権管理を基盤にした安全なデータ流通を実現できる可能性がある。これは、医療研究機関や製薬企業とのデータ連携を容易にし、イノベーションを促進する。
  • 課題と制約 ただし現在の適用事例では考慮されていない、医療関係固有の課題も想定される。以下に例を挙げる。
    • 医療データの特殊性(例:法規制、プライバシー保護の厳格さ)。
    • 医療機関間でのシステムの互換性や導入コスト。
    • データ利用における透明性と倫理的課題。
    • 医療データの匿名化技術の具体的な利用例が不足している。
    • 医療従事者や研究者間でのデータ共有における透明性と倫理的課題。
    • データ管理コストや技術導入の負担。

参考文献:


6. 医療業界における標準化の具体策

6.1. データ連携基盤と医療関連の国際標準の連携

6.1.1 FHIRとデータ連携基盤

FHIRは、医療データの共有と相互運用性を高めるために開発された国際標準であり、以下の点でデータ連携基盤と密接に関連する:

  • データ交換の効率化:FHIRのリソース形式はRESTful APIを採用しており、既存のデータ連携基盤の多くが対象としているデータプレーンプロトコルとの親和性がある。また、将来的にリアルタイムで医療情報を交換する際の発展にも期待できる。
  • 異種システム間の相互運用性:医療機関が異なるシステムを使用していても、FHIRを基準とすることで、データ形式の統一が可能となる。製造業のサプライチェーンにおける事例でもデータのスキーマに関する議論がありガイドラインとなっていたが、同様のことを医療業界においても考えることができる。

6.1.2 プロトコル標準化の重要性

データ連携基盤が効果的に機能するためには、FHIRのような医療業界における国際標準を包含する、あるいは対応したプロトコルの標準化が不可欠である。

  • 国内外の調和:国際標準を国内基盤に適用する際、日本独自の事情を考慮した医療データ標準化ガイドラインを策定し、国際規格との整合性を保つ必要がある。また、他業界(例:保険業界、製薬業界、IT業界)で用いられるデータ標準やプロトコルとも整合性を図り、医療データが多様な分野で活用される環境を構築する。
  • セキュリティとプライバシー:標準化されたプロトコルには、データ匿名化やアクセス権限管理の仕組みが組み込まれるべきである。これにより、個人情報保護法への適合が確保されるだけでなく、他業界とのデータ連携においても安全性が保証される。たとえば、保険業界との連携では、患者の同意のもとで匿名化された医療データを活用し、保険商品の開発やリスク評価に役立てることが可能である。
  • 異業種間の相互運用性:医療業界のプロトコル標準化は、他業界で使用されるデータ基盤やAPIと互換性を持つことも求められる可能性がある。たとえば、スマートシティの取り組みでは、医療データが交通データや環境データと連携することで、地域住民の健康管理や災害時の対応に役立つ可能性がある。

6.2. データ連携基盤の運用支援と標準化の適用

6.2.1 中小医療機関への支援

中小医療機関では、データ連携基盤やFHIRの導入が技術的・財政的に困難な場合がある。

  • 財政支援と技術支援:政策的に中小医療機関向けに補助金や技術サポートを提供し、標準化された基盤の導入を促進する必要がある。
  • トレーニングと専門人材育成:医療従事者に対し、FHIRやデータ連携基盤の運用に関する教育プログラムを実施する必要が生じることが予想される。

6.2.2 患者参加型データ活用

患者が自身の医療データを管理・共有できる仕組みは、データ連携基盤と標準化されたプロトコルの活用によって強化される。

  • FHIRを活用したポータルサイト:患者が自身のデータを閲覧・共有できるポータルサイトをFHIR準拠で構築することにより、自分自身でデータを利活用したり、様々なサービスで利活用されているデータの信頼性を自己確認することができる。
  • 健康アプリの統合:健康アプリがデータ連携基盤と連携することで、患者が日常的に収集するデータを医療機関と共有できるようになる。ただし、そのためには同意管理システムとの連携などほかにも考えるべきことが生じる。

6.3.2 官民連携の強化

医療関連データの利活用は、単なる市場原理に基づく利益追求だけでなく、公共の利に資する側面が強く、官民の緊密な連携が必要不可欠である。特に、政府、医療機関、IT企業が協力することで、データ連携基盤の構築がより効果的に推進される。

  • 公共データと民間データの融合公共データ(例:国民健康保険データ)と民間データ(例:ウェアラブルデバイスから得られる健康データ)を統合することで、個別化医療や地域医療の質向上、新たな医療サービスの創出が期待される。これにより、医療格差の是正や予防医療の推進といった社会的課題の解決が可能となる。
  • 標準化ガイドラインの共同策定官民が協力して標準化ガイドラインを策定することで、国内外でのデータ運用の調和が図られる。例えば、国際標準であるFHIR(Fast Healthcare Interoperability Resources)の適用を促進し、データの相互運用性を確保する取り組みが進められている。
  • 公共の利を重視した政策形成医療データの利活用は、個々の企業や団体の利益だけでなく、国民全体の健康増進という公共の目的に寄与する。日本経済新聞(2025年5月27日付)の報道によれば、政府は医療データの利活用を促すため、企業や自治体とのハブとして機能する基盤を構築し、データの一括契約を進めている。
  • セキュリティとプライバシーの確保官民連携によるデータ利活用には、個人情報保護法やGDPRなどの規制を遵守しつつ、データの安全性を確保する仕組みが求められる。匿名化技術、秘密計算、秘匿処理のような技術が持つべき役割の定義が求められる。

参考文献:


7. おわりに

国家レベルのデータ連携基盤の標準化は、医療業界において患者中心の医療、効率的な医療提供、そしてイノベーションの促進に大きく寄与する。他分野の成功事例を参考にしつつ、医療特有の課題に対応するための技術的・運用的な工夫を進めることで、持続可能な医療制度の実現が期待される。

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金融庁の共同データプラットフォーム最新動向と企業間データ連携の可能性

イントロダクション

金融庁が推進する「共同データプラットフォーム」は、金融機関や関連企業間での効率的なデータ共有を実現するための基盤である。本プラットフォームは、デジタル化の進展に対応し、金融業界全体の透明性と信頼性を向上させることを目的としている。

共同データプラットフォームの進捗と今後の進め方には「金融庁と日本銀行は、より質の高いモニタリングの実施と金融機関の負担軽減を図る観点から、データの一元化に取り組んできた」と記載されている。また2025年3月からは高粒度データの収集を開始する、とされている。

本稿では、2024年以降の最新動向を中心に、このプラットフォームの概要や企業間データ連携との関係性について解説する。

参考情報

共同データプラットフォームとは

データ一元化の進捗と今後の進め方(2023年)によれば、共同データプラットフォームは、金融庁と日本銀行が連携して構築を進める、より実効的・効率的なデータ収集・管理の枠組みである。このプラットフォームは以下の特徴を持つ:

  • データ収集の一元化:金融機関からの報告窓口を統一し、複数の金融当局間でデータを共有
  • 高粒度データの活用:取引単位レベルの詳細なデータを収集・分析
  • データの標準化:定義・フォーマットの標準化による一貫性と品質の確保

このプラットフォームは、金融機関の報告負担軽減と当局のモニタリング能力向上を同時に実現する、次世代の金融データ管理基盤として位置づけられている。

参考情報

最新動向(2024年以降)

2024年7月、金融庁は共同データプラットフォームの進捗と今後の計画に関する報告書を公表した。この報告書では、以下のような内容が示されている。

  • 進捗状況: データ収集・管理の新たな枠組みが整備されつつあり、データクレンジングの具体的な手法が確立。
  • 今後の計画: 金融機関間のデータ共有をさらに促進するため、新たなAPI仕様の導入を検討。

また、2024年度の金融行政方針では、共同データプラットフォームを活用したデジタル化の推進が重要な柱として位置づけられている。

参考: 2024事務年度金融行政方針

事例

(要旨) 本稿では、共同データプラットフォームの検討に向けた実証実験11に参加した地方銀行 (49 行)から収集した法人向け貸出明細等の高粒度データを用い、顧客企業の業種、製品 または地理的条件に着目し、地方銀行の気候関連リスク(移行リスク・物理的リスク)の特 徴や、それが地域毎に相違すること等を明らかにした。気候変動に関するデータや手法は発 展途上にあり、今後とも金融機関との対話への活用に向けてデータ整備及び分析の高度化に 取り組んでいく。

共同データプラットフォームにより収集された高粒度データが用いられている。

気候関連のリスク分析における高粒度データの活用方法

本分析では、共同データプラットフォームの実証実験に参加した地方銀行49行から収集した法人向け貸出明細等の高粒度データを以下のように活用している。

高粒度データの具体的内容

収集されたデータ

  • 法人向け貸出明細:個別企業への融資情報
  • 債務者明細:融資先企業の詳細情報
  • 帝国データバンクの企業データとの連携

3つの分析での活用方法

1. ファイナンスド・エミッション(FE)分析での活用

データの使用方法

  • 各融資先企業の業種別分類融資額を特定
  • 企業の売上高資金調達総額情報を活用
  • アトリビューション・ファクター(投融資額/資金調達総額)の計算に使用

具体的な計算プロセス

1
2
FE = Σ(アトリビューション・ファクターᵢ × 排出量ᵢ)
アトリビューション・ファクターᵢ = 投融資額ᵢ / 資金調達総額ᵢ

メインバンク判定

  • 各企業について、2022年3月末時点の貸出残高が最も大きい銀行をメインバンクと特定している
  • 複数の地方銀行から財務情報が取得可能な場合、貸出残高最大の銀行の財務情報を使用している

2. EV化リスク分析での活用

企業特定プロセス

  • 高粒度データから輸送用機械器具製造業に分類される企業を抽出している
  • 帝国データバンクの信用調査報告書の定性情報と連携している
  • 事業概要に「エンジン」キーワードを含む企業を機械的に抽出している

地域別分析

  • 法人貸出残高に占めるエンジン関連企業への融資割合を地域別に集計している
  • 銀行の本店所在地による地域分類を実施している

3. 物理的リスク(水災)分析での活用

住所情報の活用

  • 融資先企業の明細データを国税庁法人番号公表サイトの本店所在地住所と結合している
  • 各企業の所在地を国土交通省の洪水ハザードマップ上にマッピングしている

リスク度計算

1
リスク度 = 営業停止・停滞日数 × 融資額

地域別集計

  • 中小企業向け融資の貸出残高あたりリスク度を地方銀行の本店所在地域別に比較している
  • 市区町村別にリスク度を詳細分析を行っている

高粒度データ活用の特徴

データの粒度レベル

  • 個別企業レベルでの融資情報
  • 具体的な融資額企業属性の組み合わせ
  • 地理的な詳細情報(本社所在地まで特定)

分析の機械的処理

  • 一定の仮定に基づく機械的な試算や抽出を実施している[3]
  • 結果については相応の幅を持って解釈する必要がある[3]

データ連携の重要性

  • 金融データと外部データ(ハザードマップ、企業情報等)の結合により、従来では不可能だった詳細分析を実現している
  • 幅広いデータの活用が気候関連リスクの的確な把握に有効であることを確認している

このように、高粒度データは個別企業レベルでの詳細な分析を可能にし、地域別・業種別・リスク別の特徴を明らかにする基盤として活用されうる。

参考情報

企業間データ連携との関係性

共同データプラットフォームを一種の企業・組織間データ連携の仕組みだと考えると以下のように考察できる。

課題解決へのアプローチ

企業間でのデータ連携を円滑にするため、以下のような仕組みが導入されている。

  • データ標準化: 異なる企業間でのデータの互換性を確保。
  • 高粒度データ: 高粒度なデータを収集し、解像度が高いモニタリングを可能にする
  • 金融機関の負担軽減: 代替可能な既存計表を廃止することで負担軽減

参考: 入札公告等: データクレンジングに関する情報

参考: 共同データプラットフォームの進捗と今後の進め方

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